MILLION MIRRORS-blog-

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アシスタント君の苦悩

漫画家のアシスタントをやってた頃の話。
先日職場でちょっと話したら相手が興味深かったらしい反応だったので、久しぶりにブログでもちょっと話してみることにしました。
これからアシスタントを考えてる人に少しでも参考になれば幸いですね。


昔、角川の月刊誌でアシスタントを募集してるのを見て応募したのが初。
自分の描いたカットを数点送るのが条件になってたので、編集部へ数点送ったら数日後に電話がかかってきました。
そこで、編集さんから直接会って話したいので編集部へ来て欲しいと言われ、編集部へ足を運ぶことに。

※ 以下長いので折りたたんでおきます※

で、編集さんと話をして、その場でアシスタントやらせてもらう事が決まったんですが、「アシスタントをやるのは勿体無いから即デビュー作を描きましょう」って話になって、アシスタントをしながらデビュー作のネーム(作品のプロットみたいな物)を製作する事になりました。
しかも、「●●君と並んで看板作家になれる素質があるから頑張って欲しい」とまで言われ、天狗になってしまう事に、、、(笑)。


後日、当時連載中だった某Sさんの住まいへ足を運び、ご本人と少し話しをすることに。
その日に、正式にアシスタントとして使ってもらう事が決まりました。

そこでSさんは今回アシスタントを一人しか採らなかった事を教えてくれたんですが、採用した理由が面白くて、、。
もちろん仕事なので採用の理由として画力の面も有ったと思うんですが、一番の理由は自分がSさんを一度も「先生」と呼ばなかった事なんだそうです(笑)。

Sさんもアシスタント時代に、周りが「●●先生」と呼ぶ中で一人だけ「●●さん」で通してたらしく、、。
実は自分も「先生」って言葉が大嫌いなので(笑)、Sさんの事を一度も「先生」って呼ばなかったんですよね。
それを気に入ったらしく、その場で採用を決めてくれたらしいです。



アシスタントをやってて一番辛いのは、生活のリズムを他人(作家さん)に合わせなければならないこと。
何日も泊まりで作画作業をする事になるけど、食事や睡眠等の生活のリズムを作家さんに合わせる事になるし、雑談する相手も作家さん。なので、性格や価値観等に少しでも自分に近い部分のある人じゃないときっと辛いと思うんですよねー。

だから、アシスタント先を選ぶときは「上手い人」よりも、自分に似た作風の方や好きなタイプ絵を描く方を選んだ方がいいと思います。
絵って描く人の性格が出るから、自分と近い作風の作家さんなら、性格等にきっと近い部分が有ると思うんです。


実際、自分はこの後、編集さんの紹介でヤン○ジャンプで連載中の作家さんのところにもアシスタントで行ったんですが、こちらは自分と全く違う作風で…予想通り性格等も合いませんでした(笑)。

凄く良い人だったので嫌では無かったんですけど、雑談しててなかなか盛り上がらないと言うか…(笑)
前述のSさんとは、音楽や「描くこと」の話で意気投合できて楽しかったんですよねー。


アシスタントとして要求されるスキルに関して。
もちろん、アシスタントを募集してる作家さんによって全く違ってくると思います。
Sさんのトコでは…正直大変でした。
最終的には、主要人物の下書き&ペン入れ以外は全てやらせてもらったんですが、もうね、天狗になってた自分の鼻が粉々にされましたからね(笑)。

普通、漫画の持込みをするとボコボコに言われて、それでもめげずに持ち込みを続けた人には編集さんが付いて指導してくれるっていうのが一般的らしいんですが、自分は最初からベタ褒めされたんですよね。
だからもう、かなり天狗になってました(笑)。そのままの勢いでアシスタントに行ったんですが、、、。

まず最初に「枠線を引いてみて」って言われて、枠線を引いたんですよ。
普通に定規を使って真っ直ぐな線を引くだけ。ミリペンでは無く、Gペンやかぶらペン等の付けペンでしたけど。

そしたら、、、。
「駄目ですね。しばらく枠線を引く練習して下さい」って言われまして、、、、。
天狗の鼻、見事に木っ端微塵(笑)。

だって枠線ですよ、枠線。定規で真っ直ぐに線を引いただけの枠線。
それを「駄目」だと言われても、もう正直意味不明で「は?」と思いつつも、その日は1日中枠線引いてました。
途中で何度も意識が飛びそうに、、、(笑)。

でも、それから数日経ってから最初に自分が引いた枠線を見ると、その駄目さが分かる様になったんですよね。
そこで初めて、「プロってやっぱすげぇ」って心底思いました。

もちろんこの辺も作家さん次第だとは思います。
このSさんは物凄く綺麗な絵を描く方なので(講談社から出てる「神風」って単行本を見るとその凄さが分かります)、並の作家さんに比べて格段に作画への要求レベルが高かったんでしょうね。
実際、その後にアシスタントをやらせてもらったヤン○ジャンプの作家さんは、作画レベルへの要求があまり無かったですし。


給料に関して。
これもやっぱり作家さん次第で全くバラバラだと思うんですが、普通の仕事のアルバイトをするよりは安いです。
凄く売れてる作家さんなら話は別でしょうが、止まりこみで丸1日拘束されても1日数千円~1万程度とか。
この辺りは、「修行させてもらった上にお金が貰える」と考えるべきなのかもしれないですね。
超大手の作家さんのアシスタントだと、その賃金だけで十分生活できるくらい貰えるみたいですが。



あと大変だったエピソードと言えば、、、、

ヤン○ジャンプで連載中の作家さんのとこでアシスタントをやらせてもらう事になった時、その作品が時代劇だったんですよね。
なので自分は担当さんに「時代劇とか書いた事無いんだけど大丈夫ですか?」って聞きました。
そしたら答えは「資料をしっかり用意してるから大丈夫」って事で、、、、。
でも、実際に現場に入ったら白い原稿用紙を渡されて「ここに江戸の地下にある町を描いて」って言われたり、、、そこで「どんな感じですか?」って聞くと「適当に」って回答でした(笑)。もちろん資料とか無し(笑)。


あと、正直言って週刊誌での連載は人間のやる仕事じゃないな、、って思いました(笑)。
前述の角川でのアシスタントは月刊だったんですが、ヤン○ジャンプの方は週刊で、とにかく時間に追われて大変。

自分の他にもアシスタントが3人居て週3~4日泊り込んで作画してたんですが、作家さん本人は丸々一週間仕事。
まったく休み無しで、しかもこの作家さん新婚なのに奥さんの出産にも立ち会えず、自分の初の子供を直に見たのが出産から半年後なんですよね、、、。
その間、送られて来る子供のビデオを何度も見せられました(笑)。



数年間、全てを投げ打って漫画だけに打ち込める情熱と根性が無いなら、週刊誌は辞めた方が良いと思います。
しかも、単行本が出ないと生活するのも難しいですからね、、。
原稿料の中からアシスタント料を払うんだけど、週刊誌はどうしても数人のアシスタントを使いますし。
月刊ならアシスタント無しでもなんとかなるっぽいですが、、。

原稿料は、自分がデビューの話が決まったときに1ページ5000円でした。安いですよね。。
出版社によって違うと思うんだけど、それでも5~8000円くらいらしいです。
7000円としても、40ページ描いて21万ですからね、、、、その中からアシスタント料払わかなきゃいけないし、単行本が出てある程度人気の作家にならないと、生活は結構厳しいレベルになると思います。
単行本一冊売れると、その定価の10%程度が印税としてもらえますし、成功すると物凄いんですけどねー。


でも、アシスタントになると確実に画力が上がると思います。
HowTo本には載って無い様な現場のプロの技を色々と学べるし、編集さんや作家さん達から「漫画家たちの世界」の話を直接聞けるのが凄く刺激になります。
角川で連載してた頃のSさんは漫画家4人で共同生活してたので、各作家さんのアシスタントも入れると結構大人数でした。
その為、色々な作家さんの話や漫画界の話を聞けて面白かったですねー。

だから、プロの世界に触れる事が出来るだけでもアシスタントの経験はおススメです。
もちろん必要不可欠な分けでは無く、抜きん出たセンスと個性を持つ人は孤高のままに進んで行けば平気だとは思いますが。

これを見た方の中でプロの漫画家を目指してる方が居たら、是非頑張ってください(●^ω^●)


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Category: 雑記