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『ヒア アフター』を観た感想

監督 クリント・イーストウッド
出演 マット・デイモン / セシル・ドゥ・フランス


「全てが代表作」と言われる程、常に安定した良作を撮り続けているクリント・イーストウッドの最新作。
彼の近年の作品はどれも凄く良かったので、先日劇場で見て来ました。
劇場で見るのは危険なんですけどね。彼の作品は泣いてしまう可能性が高いので(笑)。


舞台は現代。
サンフランシスコに住むジョージ(マット・デイモン)は「死者と会話ができる」霊能力を持っていたが、自らのその能力を「呪い」だと語り、その能力を使う事をためらいながら生きていた。
そんな彼は、自身の霊能力を忘れごく普通の生活を求めて生きる決意を固めていたにも関わらず、自分の霊能力が原因で心惹かれていた女性との関係が壊れてしまう事になる。

パリに住むニュースキャスターのマリー(セシル・ドゥ・フランス)は恋人との旅行で東南アジアを訪れていたが、そこで大津波に遭遇し、生死の境を彷徨う事になる。
その時に彼女はこの世の物とは思えない不思議な光景を目にし、その光景が忘れられ無い為に生活の歯車が狂い始めていく。

ロンドンに暮らす双子の少年ジェイソンとマーカスは薬物中毒の母を支えて生きて居たが、ある日事故でジェイソンが死んでしまう。
保護者としての能力が無いと判断されてしまった母と引き離され孤独の中に居たマーカスは、無き兄ジェイソンと再開する為に霊能力者達の元を尋ねて歩く。

そしてある日を境に、この3人の人生が交錯して行く事になり、、、。



クリント・イーストウッドが初めて「超常現象」を扱ったという事で、日本での公開前から賛否両論だった作品。
見終わった後の最初の感想が、「賛否両論なのが分かるなぁ、、」でした。

映画を見る人の大半が望むのは、「心を動かされる事」。
それは感動であったり爽快感であったり、ハラハラどきどきの興奮であったり。
でもこの『ヒア アフター』は広く大勢の人の感情を動かす様な作品では無く、見る者の人生観や価値観の方向性によって評価が大きく変わる作品だと思いました。

相変わらず上品で落ち着きの有る画面は素晴らしいし、脚本も演出も音楽も演技も全てが高いレベルで完成してる作品だと思う。
だけど展開にちょっと散漫な印象を受けるのと、ドラマを描く力が卓越しててもスペクタルシーンを描くのが上手いとは限らないというごく当たり前の事を感じてしまう部分も。
まぁ、近年の作品がどれも素晴らし過ぎたから些細なことに物足りなさを感てしまうってだけの話なのかもしれないけど、80歳になってもなお新しい事にチャレンジするイーストウッドって凄いですよね。


余談。

自分の父は10年以上前に他界しています。
当時は両親と同居してたので父の死後しばらくは毎日泣いてた母を見るのが辛かったんですが、父の死後数日経った頃に不思議な夢を見まして、、、。

夢の中に父が出てきたんですが、それが普通の夢と違ってちょっと不思議な感じでした。
正面向きでは無く、半身に立ってる父がどこかへ行こうとしてる途中に用件を言いに来た、、みたいな雰囲気。

で、夢の中の父が「テレビの下のビデオデッキの中に大事な物が入ってるから、忘れずに取り出しておいてくれ」みたいな事を言ったんです。
でも自分の部屋のテレビの下にはビデオデッキなんて無かったし、居間のテレビの下にもありませんでした。
だけど父の部屋のテレビの下には引き出しの付いた棚が有ったので、その引き出しの中を探してみたら手帳が出てきまして。
その手帳を開くと一万円札が一枚挟んであったんですが、、、それがねぇ、父が他界する一ヶ月くらい前に自分が「手袋でも買ってくれ」って父にあげた物だったんですよねぇ。

自分が生まれた時から年に数日しか父と会え無い生活を送ってたので、互いにまともなコミュニケーションが取れて無かったんですが、他界した後も不器用な言い方しかしないんだなぁ、、わざわざ伝えに戻って来てくれたのかな、、って思って泣けた記憶が有ります。



作中では何度も「死後の世界」らしき物が描かれるけど、「死」を扱ってる様でその実は「生き方を探す」人達の「生」の物語であり、ごく近い場所で「死」に触れてしまった人達が「生」に向かって再生をしていく姿を淡々と、だけど深い愛情を感じさせる視点で描いてる作品。

見終わった後の余韻が素晴らしくて、自分は結構好きです。

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Category: 映画