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「ゾディアック」

監督 デヴィッド・フィンチャー
出演 ジェイク・ギレンホール / ロバート・ダウニー・Jr



大好きな監督デヴィッド・フィンチャーの待望の新作。
でも劇場は客が10人以下でした(笑)。


1969年7月4日にカリフォルニアでドライブ中の若いカップルが銃殺され、自ら「ゾディアック」と名乗る犯人はマスコミや警察に犯行声明を送る。
そしてその後も連続して殺人事件が起こり、それを追う警官やマスコミの人間達の人生にも影響を及ぼし始め、、、。


アメリカでは有名らしい実在の「ゾデイアック事件」を描いた話。
連続殺人を追う主人公、、、ということでどうしても同監督の名作「セブン」を思い浮かべるんだけど、まるで違った映画でした。
個人的な感想では、監督のフィンチャーが過去の自分と決別する為に撮ったのか、もしくは、自分の可能性を試してみたのかと思える作品。

「映像派」と言われる自分から緻密なストーリーテラーを目指してチャレンジしたのかと思わせる作りで、PV出身の彼らしい斬新かつ超技巧的な映像美はまるで見えず、全体的に地味で落ち着いた演出になってます。
サンフランシスコの古い町並みの再現や60~70年代の刑事物を思わせる画面の雰囲気は秀逸で、自分の最大の持ち味である卓越した映像センスを全面に出さなくても充分に観客を惹き付ける演出センスがある事を証明して見せた作品になってるのが凄い。
特に効果音を使った演出センスや上手いカットで見せる殺人シーンの迫力は流石で、「出るぞ出るぞ、、」と煽っておいて、結局は何も出ないシーンでも(笑)見事な緊迫感を作り出してみせてます。

「セブン」は斬新な映像と凝りに凝った技巧的カットで「事件」の結末を追う話だったのに対し、「ゾディアック」では事件の捜査過程を丁寧に描いてみせてて、クライム・サスペンスやサスペンス・スリラーかと思いきや、実は地味で丁寧に作られた社会派ミステリードラマって感じですね。。
「ゾディアックとは誰だったのか?」という事を描いたのでは無く、「ゾディアックとは社会にとって何だったのか?」を描いて見せている作品。

劇中で何度もポスターや会話の中に登場する「ダーティハリー」が「ゾディアック事件」をモチーフにした作品だった事をネットで見て、なる程、、と思いました。
登場人物達が「(ハリーみたいに)法を犯して(解決目指す)か?」「事件がすっきり解決するのは映画の中の話だけだ」と語ってましたしね。

こういう作品を見て「何が言いたいのか意味わかんなかった」「興奮しなかった。眠くなった」とかって感想を持つタイプの打ち上げ花火映画が好きな人達を切り捨てたくなったのかなぁ、、、とか(笑)。


余談。
80年代にアイドル的俳優だったロバート・ダウニー・Jrはドラッグ問題で一時期姿を消してたけど、最近どんどん良い役者になって来ましたね。
今回も良い演技してて、若い頃のアル・パチーノに雰囲気が似てきた気がする。
主演のジェイク・ギレンホールも「ジャーヘッド」の時のタフなイメージとはまるで正反対の、どこか間延びした人物を好演してて、これから良い役者になって行きそう。


ハラハラドキドキなサスペンス・スリラーを期待すると肩空かしだけど、地味で丁寧な社会派サスペンスが好きな人にはオススメ。

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Category: 映画