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『GODZILLA』を観た感想

監督:ギャレス・エドワーズ 出演:アーロン・テイラー=ジョンソン/渡辺謙/エリザベス・オルセン

日本が誇る怪獣映画『ゴジラ』をハリウッドで製作した作品。
監督は、なんとこれがメジャー二作目のギャレス・エドワーズ。
感想が遅くなりましたが、公開初日に劇場へ足を運んで鑑賞してきました。


先に端的な感想を言うと、個人的に2014年公開映画の中で現時点のナンバーワン作品。
スゲェ!デケェ!カッコえええええっ!!!
って叫びたくなる作品。最高です。

ゴジラが咆哮するシーンでは、カッコ良すぎて涙が出そうになりました。
あのシーンは2014年に観たすべての映画の中で、ぶっちぎりで最高のワンシーン。

祭りを後からテレビで見ても意味が無いです。
リアルタイムの大スクリーンで参加してこそ。
ましてこの作品は「大画面でゴジラがカッコ良く見える」事に心血を注いでいる映画なので、スクリーンで見なきゃ意味が無いです。
後にDVDで観て「大したこと無いよね」とか、半笑いでコメントしたらぶっ飛ばします。
少しでも興味の有る人は今からでもとっとと劇場へ行きましょう。


以下、細かい感想。
誰もが知る作品なのでストーリー説明は割愛します。
まぁ、ストーリーは有って無い様な物ですし(笑)。

1998年にもローランド・エメリッヒ監督が映画化したけど、その作品は世界中のゴジラファンから猛バッシングを受け興行的にもいまひとつの結果に。
あまりの不評に、予定されていた第二作・三作の続編企画は延期され、数年後に消滅したらしいです。

個人的にはエメリッヒ版ゴジラも嫌いでは無いんですよね。
モンスターパニックアクションとしては結構良く出来てるし、なかなか楽しめる作品になってたと思います。
でも、この作品が大不評だった原因は、ゴジラが「怪獣」では無く恐怖を煽るだけの「モンスター」だった事。

キリスト教では「人間」は唯一人の全智全能なる創造主の作品であり、自然や動物は人が支配し管理する物でしか無い。
だから西洋的思想では、人間以外の存在は全て管理支配すべき対象でしか無く、それが困難な場合は破壊し排除する対象に。
でも「万物に神々は宿る」と考える神道を根幹に持つ日本人にとって自然は感謝と同時に畏敬と畏怖の念を抱く存在で、その延長に居る超自然的な存在『怪獣』は単なるモンスターでは無く畏怖すべき存在で有り、「荒神」「祟り神」の様な存在でも有るんですね。

エメリッヒら製作陣は、日本人にとって「怪獣」は単なる「モンスター」では無く、半分は神様みたいな存在でも有るという東洋的思想を理解できて無かったのが最大の失敗要因だったのかも。
2004年に日本で製作された北村監督の『ゴジラ FINAL WARS』ではエメリッヒ版ゴジラが登場し、名前の『GODZILLA』から「GOD」(神)が削られ「ジラ」と呼ばれてましたし(笑)。


そしてエメリッヒ版ゴジラが駄目だったポイントのもうひとつは、ゴジラの歌舞伎的な演出を理解できず、巨大なイグアナをちょこまか走り回らせていた事。
ゴジラは着ぐるみで、もっそり動くから良いんです。

「歌舞伎を興行していた東宝が生み出したゴジラは、最高の歌舞伎役者だ」っていう意見を見て凄く納得した覚えが有ります。
娯楽作品に反戦反核のメッセージを乗せる手法は、時代劇を見せながら体制批判をしていた歌舞伎にも通じる物なんですよね。
袴の様な太い足でのそりのそりと歩く姿は歌舞伎の「すり足」なんだろうし、ゴジラの咆哮は歌舞伎役者の「大見得」なんだろうし。
もっそり歩きながら街を破壊し、ここぞという場面で「見得を切る」様に咆哮する。
これがカッコ良い決めシーンになるんですよね。

爆発大将マイケル・ベイも同じトコが駄目なんだよなぁ。
トランスフォーマーとか物凄い変形やアクションを連発してるけど、延々とスピーディーに見せてるだけなのが良くない。
スピーディな上に接写が多いから何やってんのかいまいちわかんないし、、。
要所要所できちんと止めて、ビシッと「大見得」を切って「決めポーズ」をカッコ良く魅せてくれれば燃えるのに。
日本の漫画やアニメが大好きなデルトロは流石にこの辺りは理解してて、彼の監督作『パシフィック・リム』ではきちんと見得を切らせてましたね。
流石、僕らのデルトトロ(笑)。


ギャレス・エドワーズはその辺りをきっちり理解した上で、ゴジラをひたすらかっこ良く見せる事に心血を注いでる所が素晴らしい。
「出るぞ出るぞ」と散々煽っておいて、初めて全貌を現すシーンのカッコ良い事と言ったら、、、、。
そのシーンでの咆哮ではもう鳥肌が立ったし、かっこ良過ぎて涙が出そうでした。

下から見上げるような煽りショットを多用した巨大感を出す演出が物凄く巧いし、画面ごとに色調を絞って光と影を印象的に使った演出も素晴らしかった。
煙の中からゴジラが現れるシーンとか、闇の中で背びれが光って行くシーンとか、パラシュート部隊の赤い照明によってゴジラの各パーツが少しずつ露になっていくシーンとか、、、痺れる様なカッコ良い演出が連発されて凄かった。
アメリカの劇場でも、何度も拍手が起こってたそうです。

「もうちょっとゴジラ見せてくれ!」と思わなくも無かったけど、でも散々「おあずけ」された後だからこその感動だったのかもしれないし、「もう少し!」って感じるくらいが良いバランスなのかもしれないですね。
ちなみに今回のゴジラの上映時間はスピルバーグの『ジョーズ』とほぼ同じで、しかも主役たるクリーチャーが全貌を現すまでの「おあずけ」時間もほぼ同じなんだそうで。


今回のゴジラへの批判で、東宝第一作のオリジナル『ゴジラ』の様にゴジラを「核の脅威の化身として描いていない」「反核の風刺が弱まってる」って意見を良く目にします。
オリジナルは誰の眼にも分かりやすく「反核」というテーマが描かれてましたしね。

でもちょっと擁護すると、監督のギャレスは凄く頑張ってると思うんですよねぇ。
アメリカ等で発売されているゴジラのDVDでは、ゴジラ誕生の謎(水爆実験が原因)等、核に関することは2004年まで全てカットされていたそうです。
だから、ゴジラが反核のメタファーである事をほとんどのアメリカ人は知らないんだそうです。
彼らは原爆投下を「正しかった」とする姿勢を絶対に曲げないですし、触れられたくないタブーでも有るんでしょうし。

そして、ギャレス・エドワーズは今回のゴジラがわずか2作目の監督作品で有り、前回のメジャーデビュー作の製作費はわずか50万ドル。
監督に大抜擢された今回のゴジラは制作費1億6000万ドル。
一度失敗したら次が無いハリウッド映画で、ド新人にいきなり3000倍の制作費ですよ?(笑)
彼にとっては、二度と無いかもしれない人生最大のチャンスだったはずです。
そんな状況下で、登場人物に「広島か」って言わせただけでも立派だと思う。
ゴジラを「平成ガメラ」の様に自然の調整者として描き、核に関するネガティブなイメージを全て敵役のMUTOに背負わせた設定も上手いと思うし。


って事で、おススメの映画。
細かいトコで色々と粗さは有るし脚本にちょっと雑さを感じる所も有るけど、そんな些細なことを引き飛ばしてくれるパワーの有る作品なので、とにかく劇場で観ろや!って感じです。

続編は2018年だそうで。
待ち遠しいですねー。

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Category: 映画