MILLION MIRRORS-blog-

自作のイラストや漫画、映画の感想等が中心です。

『風立ちぬ』を観た感想

監督/脚本/原作 宮崎駿
出演(声) 庵野秀明/瀧本美織


宮崎駿さんが「崖の上のポニョ」(2008)以来、5年ぶりに監督を務めた作品。
氏の作品は全て観ているので、今回も劇場へ足を運びました。

舞台は1920年代の日本。
幼い頃から空と飛行機にあこがれていた堀越二郎は、飛行機設計技師として就職する。
早くから才能を見せた二郎は、同期の本庄らとともにドイツや西洋諸国を視察して周って見聞を広め、戦闘機の設計を任される様になって行く。
しかし、日本は戦争への道を進み始め、、、。

主人公の堀越二郎のモデルは、ゼロ戦設計者として知られる堀越二郎と、同時代に生きた文学者・堀辰雄だとの事。
ネットでみる感想の多くに『紅の豚』の青年版だって話を見ますが、自分は『オネアミスの翼』風だなぁ、、って印象。

ただ残念ながら、自分には合いませんでした。
宮崎駿さんの作品の中ではワースト3に入るかなぁ、、、。
美術・音楽・効果音は素晴らしいんだけど、どうもドラマが駄目でした。

個人的には、宮崎駿さんって冒険活劇やファンタジーストーリーの中でドラマを描いてる時は良いんだけど、ドラマを中心に置いて描くと色々と荒い印象を受ける感じ。

まず、時間経過の描き方が駄目。
たまに間が空いて時間経過を感じさせるんだけど、それが三日なのか三年なのか分からない。
また、描かれるエピソードの数々は冗長な物と急展開過ぎる物の差が激しくて、どうもドラマに入っていけませんでした。
演出は抜群に良いんだけど、脚本がイマイチな感じ。

でも、一見すると涙を誘う「悲しい恋愛物語り」な様で、その実は「理想を追い求める事の残酷さ」を描いている話であり、主人公の堀越二郎は温厚で優しい人の様でありながら実は周囲を犠牲にしながら突き進む薄情な天才だって所とか、オブラートの薄さは好きです(笑)。

冷静に見ると二郎はヒロインに「綺麗だよ」しか言わないんだよね。
どんな時も。
魚の骨を見る時や飛行機を見るときに発する言葉と全く同じ。
合わせて、妹への接し方を観れば、彼が現実世界に生きてない天才なのは一目瞭然。
物凄く薄情で周囲の凡人を犠牲にして理想へ突き進む、世界と乖離した場所で夢想の世界に生きている究極の自分勝手野郎なんですよね(笑)。

あと、この映画を「ゼロ戦美化の右映画」とか言う人はアホですよね。
これって戦争美化でもゼロ戦賛歌でも無く、飛行機に夢を見た男が生きた時代が不運にも戦時下だったってだけの話。
右か左か強引に語るなら若干、左なくらい。

宮崎駿さんのオブラートの中に気が付かず、「泣ける映画」だと思える人や、逆にオブラートの薄さに気が付ける人にはおススメな映画かもしれません。

自分は駄目だったなぁ、、、残念。

0 Comments

Leave a comment

You may also like

Category: 映画