MILLION MIRRORS-blog-

自作のイラストや漫画、映画の感想等が中心です。

『アシュラ』を観た感想

監督 さとうけいいち
原作 ジョージ秋山


人を殺し、その肉を喰らって生きる少年が主人公という衝撃的な内容だった為、発禁指定されていた事も有る同名漫画をアニメーション映画化した作品。
子供の頃、原作の単行本を読んで物凄く衝撃を受けた覚えがあったので、劇場で鑑賞して来ました。

舞台は15世紀半ば。度重なる飢饉の中、多くの人々が飢え死んで居た。
古びた寺で、ある女が子供を出産するが、飢えに苦しむあまりその赤子を焼き殺して喰らおうとする。
九死に一生を得たその子はまるで獣の様に生き、人を襲って殺しては、その肉を喰らって生きていた。
そんなある日、一人の僧侶と出会い、次第に人間としての「心」を芽生えさせて行くが、、、。


まずは絵が凄かったです。
おそらく、一度3Dのポリゴン(CG)で描き、それをセル画の様に処理してあると思うんだけど、主線が水墨画や木炭の様な力強い描き方になってます。
それが作品序盤の異様な展開に迫力を与えてて、もの凄く良かったです。
アクションシーンの動きも良くて、今後もこの描画方法で作られたアニメを見たいと思わせる素晴らしさでした。

でも、中盤以降の展開が残念。
最初の15分くらいは傑作だと感じてただけに、凄く残念でした。
アシュラが心を許す少女「若狭」のディフォルメが、まるで一昔前の少女マンガの様な描き方で、はっきり言って浮いてます。
あと、アシュラを導く僧が語り過ぎな上に、人の言葉を覚え始めたアシュラが自らの内なる苦悩を饒舌にベラベラ全て語ってしまう部分が最悪でした。
ラストもなぁ、、、、あの木彫りに励む姿は要らなかった。
あれを描くなら、原作に有った僧の死のシーンを入れるべきだった。

せっかくこんな問題作を映像化するなんていうチャレンジをしておきながら、物語の落とし所を安易かつ安全な陳腐な場所に持って行ってしまった感じ。
最初の15分の雰囲気を最後まで貫いて欲しかったし、「獣」だったアシュラの中に芽生えた「何か」は、見る者の想像に委ねて終わらせる形にして欲しかった。
原作の持つドロドロした強烈な愛憎と闇の深さをソフティスケートして、「お上品な語り」にしてしまってる印象。
物凄く残念。


ある人が言っていた言葉。
「生きる為に殺す者は『怪物』では無い。」
「殺す為に殺す者こそが『怪物』なんだ。」

生きる為に殺すアシュラと、殺す為にアシュラを負う地頭。
自らの中の「獣」と対峙していくアシュラの苦悩と、命を奪いながら生きている人の「業」を描くには、75分という上映時間は短すぎたかなぁ、、。


でも良い作品なのは間違いないです。
このインパクトの有る内容に興味を持てる人にはおススメ。

0 Comments

Leave a comment

You may also like

Category: 映画